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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)96号 判決

本店所在地

東京都中央区日本橋通一丁目四番地

金子架設工業株式会社

右代表者代表取締役

青木篤

住居

同都同区向島三丁目三二番地一四号

会社役員

青木篤

明治四〇年五月八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官五味朗出席のうえ、審理をとげ、つぎのとおり、判決する。

主文

被告会社を罰金三、〇〇〇万円に、

被告人青木篤を懲役一〇月に、

それぞれ処する。

ただし、被告人青木に対し、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社金子架設工業株式会社は、東京都中央区日本橋通一丁目四番地に本店を置き、鉄骨並びに橋梁架設工事、基礎工事等を営業目的とする資本金三、五〇〇万円(昭和二七年三月設立当初一〇〇万円であつたが逐次増資し、同四〇年五月二、〇〇〇万円、同四三年六月三、五〇〇万円としたもの)の株式会社であり、被告人青木篤は、右被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人青木篤は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空労務費を計上して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四一年一月二一日から同四二年一月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一二六、七六〇、七七〇円あつたのにかかわらず、同四二年三月二〇日東京都中央区銀座東七丁目五番地所在所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二九、三〇二、〇四八円で、これに対する法人税額が九、七六四、二四〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額四三、六〇三、九八〇円と右申告税額との差額三三、八三九、七四〇円を免れ

第二、昭和四二年一月二一日から同四三年一月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一二五、六四二、五八一円あつたのにかかわらず、同四三年三月二一日前記所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八、七三五、〇二二円で、これに対する法人税額が一二、七四八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額四三、一五八、七〇〇円と右申告税額との差額三〇、四一〇、二〇〇円を免れ

第三、昭和四三年一月二一日から同四四年一月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一七三、七五三、七九一円あつたのにかかわらず、同四四年三月二〇日同都同区日本橋堀溜二丁目五番地所在所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三四、二二八、四八七円で、これに対する法人税額が一一、〇一九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額五九、八四一、九〇〇円と右申告税額との差額四八、八二二、八〇〇円を免れ

たものである。

(なお、修正貸借対照表は別紙第一、第二、第三のとおりであり、税額計算書は別紙第四のとおりである。)

(証拠の目標)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一、被告人提出の上申書五通

一、水上貞義の検察官に対する供述調書一通及び大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一、友成久の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、尊田順、青木洋次郎、高石和也、大谷正、大康雄、岩田義一、高松浩、與田稔、田中徳夫、坂口慶一、青木あい、岸里勇、森田金五郎、中野正夫、福岡幸一の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、大蔵事務官作成の調査書五二通

一、大蔵事務官作成の現金有価証券等現在高検査てん末書四通

一、金森三郎作成の法人税修正申告書謄本(四一年一月期分)一通

一、金森三郎提出の証明書一通

一、押収してある次の証拠物(かつこ内は、いずれも昭和四六年押第四四三号のうちの符号を示す。)

元帳(16、17、18)各一冊、税務関係綴(35)一綴、法人税申告書原本(57)一綴

(法令の適用)

判示各事実は、被告会社につき法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項、第二項に、被告人青木につき同法第一五九条第一項にそれぞれ該当するところ、被告人青木に対し所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により各罰金の合算額の範囲内で、被告人青木については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、被告会社を罰金三、〇〇〇万円に、被告人青木を懲役一〇月にそれぞれ処するが、被告人青木に対しては諸般の情状を斟酌し刑法第二五条第一項により本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 守谷芳)

別紙第一 修正貸借対照表

金子架設工業株式会社 昭和42年1月20日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第二 修正貸借対照表

金子架設工業株式会社 昭和43年1月20日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第三 修正貸借対照表

金子架設工業株式会社 昭和44年1月20日

〈省略〉

〈省略〉

別表第四 税額計算書

金子架設工業株式会社

〈省略〉

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